2009年1月19日

2009年、米国ペンシルベニア州立テンプル大学は創立125周年を迎えました。そのジャパンキャンパスは、1982年の開設から28年目を迎えようとしています。

夜間学校としてのスタート

現在、アメリカ独立宣言の地フィラデルフィア市に広大なキャンパスを構えるテンプル大学も、最初は学生7人の夜間学校としてスタートしました。1884年、バプティスト教会の牧師であり弁護士でもあったラッセル・コンウェル氏が、正式な教育を受ける機会のなかった勤労青年を対象に、数学や弁論術などを教え始めたのがテンプル大学の前身です。

7人だった学生は数年後には百人以上に増え、1888年にはテンプル・カレッジとして州より認可され、1907年にはテンプル大学として法人化されました。校名の「テンプル」は使用していた施設(教会)の名称から来たもので、当初から宗教宗派とは無関係に幅広い学生を受け入れてきています。

現在では公立の総合大学として、37,000人以上の学生と、17のスクール・カレッジを持ち、全米4000校余の大学のうち28番目の大規模校となっています。フィラデルフィア市内では3番目に大きい雇用主であり、ペンシルベニア州経済に年間30億ドルの直接的な経済効果をもたらしています。

3.5億ドルの寄付金キャンペーン

さまざまな周年記念行事の一環として、テンプル大学では2007年秋から「Access to Excellence」と題した大規模な寄付金キャンペーンを実施しており、総額3.5億ドルの目標に対して現在までに3.2億ドルの資金が調達されています。個人の献金も多く、昨年2月に匿名で奨学金向け400万ドルおよび使途自由の100万ドル、12月には地元の不動産実業家のJ・ウォルギン氏よりアートスクール向けに370万ドル、などの大口寄付がありました。

こうして調達された資金は、奨学金や研究資金のほか、創立当初に教室として使われていたバプティスト教会の改修など施設・設備の充実や、地域貢献プログラムなどに充てられます。なかでも、教育ローンの利用が多い学生の負担を軽減するための支援制度の充実は、優先課題のひとつとされています。ちなみに、テンプル大学の学生1人あたり卒業時の負債額は平均27,355ドルとなっています(2006年)。

創立当初、教室として使われていたバプティスト教会は、現在多目的ホールに改修中。

積極的な海外展開と学学連携

なお、テンプル大学は海外にも積極的にプログラムを展開しており、1966年にローマキャンパスを、1982年に東京にジャパンキャンパスを開設。1999年には北京で法学修士プログラムをスタートさせました。短期留学制度も充実を図っており、現在では35カ国以上で交流プログラムを展開しています。日本における交流プログラムは、主にジャパンキャンパスを通じて運営されていますが、このほか日本の大学とのパートナーシップ開拓も検討されています。

テンプル大学ジャパンキャンパスは、1982年に大学付属英語課程および教育学英語教授法修士課程でスタートし、翌年に学部課程が設置されました。その後1993年に開設されたロースクールと生涯教育プログラム(当時の名称は「オープンカレッジ・プログラム」)、1996年に開設されたMBAプログラムは、それぞれ15年、12年の実績を持ち、法曹界・実業界の人材育成やビジネスマンのスキルアップに貢献してきています。

現在、ジャパンキャンパスとしても、日本の複数の大学との間で学生や教職員の交流に関する連携プログラムの開発を進めており、テンプルとして日本の高等教育界の発展に、一層の貢献をしていきたいと考えています。