問題を抱えている学生とどう向き合うか。学生の行動にどう対処するのか。そしてそのような状況に直面した時、どこにどうやって助けを求めればいいのか。こういった疑問はどれも重要なものです。テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)では1月の第5週、米国本校から2人の専門家を招き、TUJの多様なバックグラウンドを持つ学生とのより良い向き合い方について議論を深める教職員向け研修を実施しました。
「今日、様々な形で学生をサポートする必要がある場面が増えてきました。特に本学では学生それぞれのバックグラウンドがどんどん多様化していっています。教員は日々学生と関わっているので、問題を抱える学生の兆候や症状に気づくのも彼らである場合が多いのです。ここで言う問題とは例えば、学生が生活において困難に直面していたり、ストレスを抱えていたりしているような場合です。本学は米国大学として独自のリソースを活かし、FD、SD(ファカルティ・ディベロップメント、スタッフ・ディベロップメント)研修の機会を提供し、キャンパス内にある『CAREチーム』などのサポート体制をさらに強化していきたいと考えています」(上級副学長 加藤智恵 談)。
「CAREチーム」とは学内部署間の垣根を超えて組織された学生のための支援グループで、複数の教職員で構成されています。学生が問題を抱え、助けを必要としているとの報告があった場合、CAREチームがその報告を精査します。米国では2007年のバージニア工科大学での銃乱射事件の後、学生の問題が危機的状況までエスカレートしてしまうのを未然に防ぐ目的で、米国内多くの大学でCAREチームが組織されてきました。テンプル大学本校では2008年より、TUJでは本校に倣って2017年より設置されています。
学生の行動に関するワークショップ:「CARE案件か、行動規範案件か: どんな時に報告すべきか」
今回のワークショップでは米テンプル大学本校の学生部上級副部長レイチェル・スターク博士がまずTUJの 「CAREチーム」体制について、学内部門横断的に組織された教職員による支援グループとして説明を始めました。TUJ上級副学長の指揮の下、学生サービス部、アカデミック・アドバイジング・センター(教務部)、障がい学生支援室、教員、カウンセリングの代表者が集まって構成されています。CAREチームでは学生が抱える問題に関する報告を受けると、様々な情報源から当該学生に関する情報を集め、問題への最も適切な対処方法を決定します。CAREチームの役割は、状況に対処するための適切な戦略を練り、その戦略に従って誰が対処策を実行すべきかを考え出すことです。ワークショップでは問題の兆候となる行動をどのようにして見つけるかや、またそのような行動に対して具体的にどう対処するか、またどうやってCAREチームに報告するかなどについてのディスカッションを行いました。ケーススタディを用いた話し合いもいくつか行われました。
また、ワークショップ後半では同大学生部副部長メーガン・パトリックが登壇し、どのような場合に行動規範(Conduct Code)違反とされるのかについて、議論しました。重大な違反事項には、学業に関する不正や脅迫、暴行、ハラスメント、妨害行為などが含まれます。そのほか授業、研究活動や会議、大学が主催するイベントなどの遂行が妨害された時にも行動規範の違反報告が提出される事案となります。時にはCAREチームが対応していた案件が行動規範違反に発展する場合もあり、登壇した学生部副部長は教職員がこのようなケースに遭遇した場合にとるべきステップについて共有しました。学内全員で部門横断的に協力することの重要性を強く指摘し、さらにそのようなケースに対処する際のノウハウを教えてくれました。
教職員全体向けのワークショップに加え、両名は個別のセッションを通じて、具体的な個々の問題について話し合う機会も設けてくれました。