(右から)井上雅彦さん、祥子さん、ジェレミー・マスチャックさん

(右から)井上雅彦さん、祥子さん、ジェレミー・マスチャックさん

テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)では、緊急事態宣言で入国制限緩和措置がとられた昨年秋から今年1月までの一定期間に、計125名の来日海外学生を迎えました。その後、1月より首都圏を含む各地で緊急事態宣言あり、一時解除されましたが再度延長され、日本で留学生活を送る外国人学生にとって、慣れない異国の地で新型コロナウィルス感染症の脅威と向き合う日々が続いています。

今回、日本の文化に深く触れたいという外国人学生を受け入れてくださったご家庭にインタビューをしました。

江東区にお住まいの井上雅彦さん、祥子さんご夫妻は、1月から4月末までの約4カ月間、TUJ国際ビジネス学科2年のジェレミー・マスチャックさん(米国ワシントン州出身、カスカディア・コミュニティ・カレッジから編入)のホストファミリーを務めていただきました。

-ホストファミリーになろうと思われたきっかけを教えてください。

井上祥子さん(以下、祥子さん): TUJのウエブサイトでホストファミリー募集を知りました。以前から興味があったので、申し込みました。私自身も大学時代、カリフォルニアでホームステイしたことがあったのも理由のひとつです。

井上雅彦さん(以下、雅彦さん): 私も15年ほどアリゾナで、2年ほどシカゴで暮らしていた経験もあり、アメリカ人の感覚というものをよくわかっておりましたので、受け入れてみようかと。

-コロナ禍で、ご不安と思われた点は、どんなことでしょうか。また、実際受け入れていただいていからは、いかがでしたか。

雅彦さん: とくに不安はありませんでした。というのも、ジェレミーは昨年(2020年)12月末にアメリカでPCR検査を受けた後に来日し、日本到着後は大学から用意された隔離施設で2週間を過ごしてからうちに来ましたので。むしろ日本人と会うより安全だと思いました。うちに来てからも在宅のことが多く、ほとんど外出しないので非常に安心でした。家族みんな、居場所が分かっている状態でしたから。

-受け入れにあたり、大学の授業もリモートであった点についてはいかがでしたか。

祥子さん: 私ども夫婦は、二人ともリモートワークで、在宅中はそれぞれの部屋で仕事、勉強という状況でした。ミーティングの時は、私が一番にぎやかだったかしら(笑)。在宅中心の生活自体は問題ありませんでしたが、ただせっかく日本に来たのにジェレミーは大学に行く機会もあまりなくて、友だちができないのは気の毒に思いました。
リモートワーク、在宅学習、という状況は、同僚が増えたみたいで(笑)しっくりきましたよ。

-コロナ禍で、ご自身たちの日常も変化が多い中、学生を受け入れたことでよかった点はどんなことでしょうか。

雅彦さん: 生活が規則正しくなりました。自分たちだけだと、朝の準備も夜も、時間がズルズルずれていってしまうのですが、ジェレミーがいたおかげで、昼ご飯は12時から、といった具合に決めて行動できたのでよかったです。

祥子さん: 私たちも外に遊びに行くこともなく、他との接点がない中、ホストファミリーとして新しい生活を体験できたのは、本当にいい時間でした。みんなが在宅中心の毎日でしたので、昼間も一緒にいてコミュニケーションを密にできるのは大きなメリットでした。

-ホストファミリー期間中で、一番の思い出深い出来事を教えてください。

祥子さん

祥子さん: ジェレミーが車好きで、「辰巳PA(首都高速道路 辰巳パーキングエリア)」に一緒に出かけたことですね。うちからほど近いところに、車好きの聖地があるなんて、私たちも知りませんでしたから(笑)。
高速のパーキングエリアですから、歩いては行けないわけで、三人で車に乗って行って…ジェレミーは次から次へとやってくる車をじっと見ているんですよ。あれは新たな世界でした(笑)。

雅彦さん: つくばサーキットのイベントにも出かけましたね。あの凄いエンジン音、タイヤが燃えて煙があがって…というレースを見に行くファンの気持ちがわかりました。

‐なにか大変だったこと、困ったことはありましたか?

祥子さん: (事前調査シートで食べ物の好き嫌いなどの情報もあり)ジェレミーは和食も含め、持ち前のチャレンジ精神で何でもよく食べてくれて、とても感心しました。だからこそ、時々食が進まない日があると、口に合わないのかなと気を揉みました。ただ、後半はもう味に慣れたのか、特に心配することもなくなりました。

雅彦さん: 正直、あまりありませんでした。なにかと、想定の範囲内というか。食事は、何でもトライしてくれて、私のアメリカの友人知人と比べても、好き嫌いなくてすごいなと。彼はよく日本食や日本の文化を受け入れている方だと思います。

祥子さん: そうですね。彼はすごく気を使ってくれるんです。彼のご両親から連絡先もいただいていたのですが、特段困ったこともなく、一度もご連絡差し上げていません。

-これからホストファミリーになろうと考えるご家庭へ向けて、アドバイスをお願いします。

祥子さん: あまり神経質になりすぎないことでしょうか。感染症対策をして、お互いできる限り生活を楽しむことでしょう。

雅彦さん: 大事なのはお互いのペースで生活すること、かもしれませんね。

-ジェレミーさんは、コロナ禍中、日本に来ることに不安はありませんでしたか。ご家族も心配されたのではありませんか。

ジェレミーさん: クリスマスの翌日12月26日に来日してから2週間、大学が用意してくれた隔離施設に滞在して、1月9日には井上さんご夫妻が迎えに来てくださいました。生活する中で、日常的にジムにも行けるし、日本の方がより安全で、開放的と思いました。
家族はもちろん心配はしたと思いますが、なにより僕が日本でホームステイをしながら勉強することを応援してくれていますので、この厳しい状況の中でも来日できて本当によかったと思います。

-なぜ日本で勉強したいと思ったのですか。

ジェレミーさん: お寿司が好きで、小さい頃から日本に興味を持っていました。2019年9月~12月、高校生の時、コミュニティ・カレッジの留学プログラムに参加して、日本に滞在しました。当時は自由に外出もできたので、渋谷で遊んだり、楽しい時間を過ごしました。
その後、日本語を本格的に勉強したいと思ったので、日本で時間をかけて、いろいろな経験を通じて、日々日本語を話しながらしっかり言語を身につけたいと決心したからです。ホームステイを始めて3カ月くらいで随分日本語力がつきました。TUJでは、今後日本語を副専攻にしようとも思っています。

-来日してからの課題はどんなことでしたか。

ジェレミーさん: 新しく人に出会ったり、友だちを作ったりするのが、(コロナ禍の)今の状況だととても難しいですね。大学でテニスクラブに入ってからは、週に1~2回、キャンパスに行くようにしていました。来日直後、区役所への転入届など事務手続きには少し苦労しましたが、ホストファミリーが手伝ってくれました。

-日本に来てよかったと思う点はどんなことでしょうか。

ジェレミーさん: 日本語力に自信がつきました。あとは、自分自身の可能性を広げられたと思います。世の中にはいろいろな人がいて、いろいろな考えを持っていることがよく理解できました。アメリカの地元では、同じようなバックグラウンドの人が周りにたくさんいますが、ここでは違いますから。

井上さんご夫妻の協力で、語彙を増やしていった「ジェレミーノート」
井上さんご夫妻の協力で、語彙を増やしていった「ジェレミーノート」

-なぜTUJで学ぶことを選択しましたか。

ジェレミーさん: インターネットでいろいろな大学をリサーチする中で、TUJを見つけました。私はアメリカの大学の学位取得をしたいので、日本の大学に進学する選択肢はありませんでした。そこで、東京にありながらアメリカの大学であるTUJは自分の探し求めていた最適な環境だったのです。
キャンパスでは、とてもいい友人たちと知り合えました。日本語の授業は、ほぼオンラインでしたが、やはり対面がいいと思います。教授陣は、とても熱心に僕らとかかわりを持ってくれて、よく話を聞いてくれます。これはTUJのような小規模な大学の特権だと思いますよ。キャンパスでは、学長ともバスケットボールを一緒にやったり、とても気さくに話しかけてもらい、うれしかったです。

‐井上さんファミリーと過ごした中で、どんなことが印象に残っていますか。

ジェレミーさん: いろいろありますが、千葉・御宿、祥子さんの実家へ連れて行ってもらったことが一番です。海辺の町で、とても素敵でした。

-これからホームステイをしたいと思っている新入生にメッセージをお願いします。

ジェレミーさん: 日本に来る目的、ホームステイをする理由を明確に持つべきだと思います。何を達成したいのか、なぜそうしたいのか、最終的なゴールに向かって努力することが大切ですよ。

ホストファミリー

ホストファミリーにご興味のある方は、こちらのPDFをご確認の上、学生サービス部ホームステイ担当まで、Eメールにてお問い合わせください。homestay@tuj.temple.edu

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