ビデオと写真撮影:Dana Stribling

テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長:マシュー・ウィルソン、以下TUJ)が学生の発案で10月に公式アカウントを開設しました。その開発を取り仕切ったのは、コンピューターサイエンス学科3年生の中嶋奎太さんです。中嶋さんは、プログラミングを学び始めてまだ2年足らずですが、自らが創設したクラブのメンバーとともに長時間かけてプロジェクトを完成させました。

この新しく誕生したTUJ 公式LINEアカウントの「チャットボット(Chat bot)」は、クラブ活動情報、学校行事のお知らせ、アカデミック・アドバイジング・センターとの面談予約など、学生の大学生活をより便利にするツールになりました。チャットボットとは、AIを活用した自動会話プログラムのことです。

中嶋さんは「当初、僕が創設したTUJクラブ『コーディング・コミュニティ(Coding Community)』で使う専用アプリを作成するため、このプログラミングを始めました。なのでそれが大学全体で使われるようになるとは思っていませんでした」と言います。彼の場合は、2020年1月にTUJへ入学するまで、本格的にプログラミングを学んだことはなく、コンピューターサイエンス学科のハニ・カラム准教授のもとでプログラミングの授業を履修し、プログラミングが好きになったのだそうです。

「僕はTUJに編入してからプログラミングを始め、それまでは経験はなく、編入したばかりの2020年の春学期に、CとPython(プログラミング言語)を受講しました。その後、マインスイーパーなどのゲームを作り、カラム准教授から高評価をいただき、それがとても自信になりました」。

カラム准教授は、彼には「学びへの情熱と、自ら率先して実行する力」があり、それは優れた科学者になるための重要な要素であると言います。また、「彼はとても前向きな姿勢で取り組んでいて時にはプログラミングで困っている同級生のサポートをお願いすることもありますが、快く引き受けてくれる」そうです。当時、TUJには理系のクラブがなかったため、准教授は中嶋さんにクラブを作ることを勧めました。

中嶋さんは、2020年9月に「コーディング・コミュニティー」を設立しましたが、そのときからのメンバーの一人、経済学部3年の飯村翔太さんも、カラム准教授と同じよう中嶋さんを高く評価しています。飯村さんは、8月の夏休み中に100時間から200時間を費やして、デザインに関する様々なアイデアを中嶋さんに提案する重要な役割を果たしました。飯村さんは「(中嶋)奎太と一緒にこのプロジェクトを行う前は、自分でなにか作ってみようという機会はなかなかありませんでしたので、今回はとても楽しい経験でした。時間をかけて、大学やTUJの学生のために公式アカウントを完成することができて良かったです」と話しています。

中嶋さんによれば、LINE公式アカウント作成には、膨大な時間を費やし、またクラブメンバーを集めることにも一苦労したそうです。しかし、このプロジェクトに打ち込むことで自らを奮い立たせ、メンバーを団結させました。「アイデアはたくさんあったので、朝起きてからすぐにプログラミングを始め、夜遅くまで続けるという生活が何日も続きました。500時間というと、とても長い感じがしますが、僕にとってはあっという間でした。時間を計っていたわけではありませんが、バスケとかサッカーやダンスの練習をするように、ただ楽しんでいただけです」。

中嶋さんは、子供のときから理科が好きで、特に、宇宙や惑星に興味を持っていました。福岡県出身で、地元の学校では理科委員会に所属。その後2016年に家族とともにスリランカに移り住み、そこで、英語力を身に着けました。現地では高校はインターナショナルスクールに通い、卒業後現地の大学へ進学、昨年、TUJに編入しました。「英文法は理解していたし、聞いたり読んだりすることはできましたが、会話はいまいちでした。ただ、スリランカの高校を卒業する頃には、英語で会話ができるようになっていました。数学や物理が得意だったので、友達から質問されることも多く、それで会話が上達したと思います。TUJに編入してからは英語がさらに上達しました」。クラブを結成したことも、英会話を上達させた大きな要因の一つだと言います。

中嶋さんは入学以来優秀な学業成績を修めています。2020年と2021年の春学期にディーンズ・リスト(各学期成績優秀者のリスト)に名前を連ねました。来年1月にフィラデルフィアのメインキャンパスに通い、コンピューターサイエンス学科で学位取得を目指しています。「2+2留学プログラム」では、学生は2年間TUJで学び、残りの2年はフィラデルフィアで学位を取得します。中嶋さんは入学以来多くの単位をTUJで取得したので、あと1年で学位取得を完了する予定です。

「もうすぐ渡米するなんてまだ実感がわいてきませんが、受けてみたい授業がたくさんあるので、本校へ行くことを楽しみにしています」と語る中嶋さんですが、一方で、TUJを離れて、本校に行くのはクラブのメンバーや先生方と会えなくなるので、それがとても寂しい、とも。

「コーディング・コミュニティー のメンバーの多くは理系学生ではありません。プログラミングで重要なことは目標を達成する過程において何かを『ブレイクスルー』することです」「自らが定めた目標をするクリアするこが重要で、それができれば、基本的には何でも創り出すことができるはず」と中嶋さんは語ります。