世田谷文学館について発表する学生たち。写真撮影:中嶋梨恵さん(TUJ学生)

テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長:マシュー・ウィルソン、以下TUJ)にて日本語コースを履修している学生と教職員は、世田谷区のコミュニティ団体と協力し、日本語を通して地域住民との交流を深める恒例のイベントを開催しました。このイベントでは、プレゼンテーションやディスカッションが行われ、TUJの学生たちは日本語のスキルを向上させるとともに、参加者たちはTUJの多様で活気ある国際的な雰囲気を体験しました。

TUJでは2019年に三軒茶屋にキャンパスを移転して以来、地域活動を通じて、近隣住民と学生や教職員との絆を深めてきました。今回のイベントは、コロナ禍での活動制限が緩和して以来、活動を活発化させている地元団体「せたがや国際交流センター(愛称:クロッシングせたがや)」と、日本語を学ぶTUJの学生および日本語学科の教員との協力によって、定期的に開催されているものです。最新のイベントは2024年7月6日にTUJの学生ラウンジ「パーラメント(Parliament)」で開催され、近隣地域から約30名、TUJの学生22名が参加しました。今年は3月に続いて2回目の開催となります。昨年は4回行われ、毎回好評を博しています。

公益財団法人せたがや文化財団の国際事業部マネージャーの黛和晃氏は、「このイベントは世田谷の皆さんにとても人気があります。TUJイベントの広告をウェブサイトに掲載すると、毎回すぐに定員の30人が埋まります。新しい応募者もリピーターも多く、参加者からは『学生たちと交流し、TUJの雰囲気を体験できて満足した』という声が多く寄せられています」と述べました。

今回のイベントでは、学生たちは地元住民に馴染みのあるスポットについて日本語でプレゼンテーションを行いました。学生たちは三つのグループに分かれ、豪徳寺、馬事公苑(1964年と2021年に開催された東京オリンピックで馬術競技会場)、世田谷文学館を訪れ、それぞれの場所の見どころを紹介するポスターを作成しました。アメリカ、モンゴル、中国など様々な国籍のTUJ学生たちの発表に刺激された参加者からは多くの質問が寄せられました。

「参加者の多くはこれらの場所にすでに馴染みがあると思いますが、それでも多くの質問がありました。学生たちがこれらの三つの場所をそれぞれ違った視点で観察している様子に興味を引かれたようです。現在ではインターネットなどで調べることができますが、学生たちが実際に足を運び、日本語で多くの人にインタビューし、その結果を日本語で伝えたことに価値があります」と黛氏は述べました。

参加者からは、学生たちが作成したポスターについてや、馬事公苑の施設内の店舗、豪徳寺周辺のレストランについてなどの質問が寄せられ、学生たちが日本語で回答しました。その後、学生と参加者は再度いくつかのグループに分かれてクイズや日本文化についてのディスカッションを行い、さらに交流を深めました。

参加者の多くは、TUJの学生たちの努力と真剣な姿勢を目の当たりにし、イベントに満足している様子でした。また、キャンパスの雰囲気を楽しむ良い機会になったとの声も聞かれました。

初めてTUJを訪れたという長瀬勝彦氏は、様々な国籍の学生と出会い、日本や彼らの文化について意見交換することができ、とても楽しかったと感想を述べました。「皆さんは真面目で、日本に対する深い関心を持っており、それぞれがしっかりした意志で勉強していることが伝わってきました」と話しました。

同じく初参加の岡澤節子氏は、世田谷の広報誌「せたがや」から応募しました。岡澤さんは留学生に日本語と日本の文化を教えるボランティアグループで活動していますが、TUJの学生たちの日本語は上手だと語りました。「皆さんとても熱心に発表していて、日本語を学ぶことにとても真剣だと感じました。勉強以外の時間は何をしているのかと尋ねたところ、アルバイトに取り組んでいることで、その真面目さがとても印象的でした」と述べました。

地域住民とのグループディスカッションに参加したTUJの学生イーサン・バークさん(中央)。写真撮影:中嶋梨恵さん(TUJ学生)

TUJ日本語学科の山口麻子准教授と岡田千帆講師は、学生たちの各イベントへの準備を指導し、クロッシングせたがやとの関係を築く上で重要な役割を担っています。

2021年からこのイベントの発展に尽力してきた山口准教授は、学生達が普段は接触機会の少ない年齢層の日本人と会話をすることにより、彼らの経験値を向上させていると言います。「学生にとって、コンフォートゾーン(快適な環境)から一歩踏み出す良い機会です。日本での就職を希望する学生にとっては、地域の人々とのつながりを深める貴重な体験となります」と語りました。

TUJの学生たちは、このイベントを住民の方々と交流し、日本語能力を向上させる貴重な機会と捉えています。1年生のイーサン・バークさんは、「このイベントは日本語が入門レベルの学生にとって特に重要です。とてもオープンな環境で、皆さんがとても親切だったので、自信をつける良い機会になりました」と語りました。


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