2012年8月8日
テンプル大学(米国フィラデルフィア州ペンシルベニア)は、8月7日の理事会で、テンプル大学第10代総長に、ニール・セオボルド氏を選出しました。就任予定は2013年1月です。39,000人の学生と25億ドルの予算、17の学部・研究科と大学病院、そして今年30周年を迎える日本校を擁する、米国東部最大の大学のひとつであるテンプル大学は、来年から新総長のもとで新しい時代に入ります。
セオボルド氏は現在、学生数11万人の州立大学、インディアナ大学のシニア・バイスプレジデント兼最高財務責任者を務めており、31億ドルの大学予算の管理、17,000人余の教職員の福利厚生、世界最大の学生センターの運営などを監督しています。セオボルド氏のもと、インディアナ大学は3,840万ドル(予算の7.8%)の州補助金カットを乗り越え、整理解雇を回避し、教職員給与の年2%の引き上げを実現させています。これを可能にするため同氏は、購買システムの統合や早期退職制度の導入、生涯教育部門の廃止など思い切った政策で経費削減を実行。ムーディーズ社の債務格付けを、公立大では全米で8校しかないトリプルAに引き上げました。
大学経営者としての手腕だけでなく、同氏は教職や研究職においても優れた業績を残しています。インディアナ大学では教育経済学の専門家として教鞭をとってきたほか、教育財源の非集中化や教育労働市場モデルの研究では多額の外部資金を獲得。著作も多く、専門誌や米国の州政府のポリシーレポート50本以上に論文の掲載実績があります。今回の選出は、セオボルド氏のこうした教育研究上および大学経営の実績が高く評価されたものです。
テンプル大学では、第9代総長アン・ウィーバー・ハート氏が今年6月末に退任してから、同氏の下でプロボストだったリチャード・イングラート氏が総長代理を務めており、来年1月にセオボルド氏にバトンを渡すことになります。
理事会による選出の前日に行われた教職員や学生との質疑応答会で、セオボルド氏は、学生の経済的負担を軽減するための奨学金の充実や、寄付金の収集に注力することを明言し、またテンプル大学が競争力を維持するためには、教育の質が重要であることを強調しました。
テンプル大学理事長/総長選任委員会長パトリック・オコナー氏は次のようにコメントしています。「セオボルド博士は、優れた教育者・研究者であるとともに、高等教育の変革の潮流についても実務的な深い知識を有しています。一流の教育を手の届く価格で提供することを使命と考えている彼は、インディアナ大学において時代が求める厳しい決断を実行しつつ、奨学金を充実させてきました。これ以上いまのテンプルに必要な資質を備えた人は考えられません。」
ニール・セオボルド氏略歴
米国イリノイ州ピオリア出身。1978年、トリニティ大学卒業。企業の社員、高校の数学教師などを務めた後、ワシントン大学から修士号・博士号を取得(1988年)。1988~1993年、ワシントン大学で教育学を教える。1993年、インディアナ大学教育経済学准教授およびインディアナ州教育政策センターディレクターに就任。2002年、同大ブルーミントン校の予算担当副学長、2006年同大シニア・バイス・プロボスト兼総長補佐、2007年同大バイスプレジデント兼最高財務責任者。