写真:タンザニア、バンガタ村 さくら女子中学校建設中のようす

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米国ペンシルベニア州フィラデルフィアに本校を置くテンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ/東京都港区/学長ブルース・ストロナク)の理事会レギュラー・メンバーを務める岩男壽美子氏は、女性の自立支援推進の取り組みとして、タンザニアのバンガタ村に「さくら女子中学校」の設立を進めています。その派遣チームの一人として、TUJで教育学修士を取得したアーロン・ジェームズ氏が、英語担当の教員として赴任予定です。

岩男氏はバンガタ村出身のフリーダ・トミト氏と出会ったことをきっかけに、2008年からタンザニアでマイクロクレジット事業(無担保少額融資)を開始。その事業を通じて、現地の女性の自立支援を行ってきました。トミト氏はマサイ族の女性としては極めて珍しい境遇にあり、アメリカの大学を卒業し、経済的成功を収めています。そのことから教育の重要性を実感し、女子教育の拠点を作るという志を抱くようになりました。相談を受けた岩男氏がトミト氏の熱い思いに共感し、NGOさくら・ビジョン・タンザニアを2013年10月に共同設立。「さくら女子中学校」設立計画が始動しました。

2015年初頭には外務省から約50万ドルのODAの供与が決定。この資金により、教室、食堂(ホール)、寮、浄化槽、教職員住宅などの建設が急ピッチで進められ、8月には完成予定です。これまで数多くの民間企業・団体・教育機関や個人から受けた支援に加え、日本の政府資金も投与され、2016年1月の開校へ向けて着々と準備が進められています。

写真:タンザニア、バンガタ村 さくら女子中学校建設中のようす
タンザニア、バンガタ村 さくら女子中学校建設中のようす
写真:建設は急ピッチで進められている
建設は急ピッチで進められている

全寮制の「さくら女子中学校」は1学年50名の4年制で、教科は英語で学習します。理数科目に特に力を入れ、現地に不足する医療関係者、技術者、科学者など、社会で活躍する次世代の女性リーダーの輩出を目指します。また、現地の文化に配慮しつつも、日本のものづくりの根底にある「緻密さや丁寧さ、また、細部へのこだわり」といった価値観を「さくらベーカリー」と名付けられたパン作り事業を通じて学ぶことも計画されています。陽光桜の植樹も進められ、日本の魅力の発信拠点としても活用が期待されます。

設立に向けて岩男氏は、「日本のODAが決まるまでは長い道のりだった。タンザニア政府は昨年理数系科目に重点を置く指針を発表し、私たちのプロジェクトと方向性が一致している。このプロジェクトが、積極的、主体的にものを考える次代の女性リーダー育成の一助となれば」と思いを語っています。

写真:英語担当のTUJ卒業生アーロン・ジェームズ氏(左)と現地派遣チームメンバー
英語担当のTUJ卒業生アーロン・ジェームズ氏(左)と現地派遣チームメンバー

日本からは理数科目担当(元青年海外協力隊員)3名と、TUJ大学院教育学研究科修士課程を2012年に卒業した英語担当のアーロン・ジェームズ氏が派遣されます。ジェームズ氏は「大学で何年も教えてきたが、今度は私が考える”教育における正義”に貢献したいと思いこのプロジェクトに参加した。このプロジェクトでは、ある特定の文化や社会において、継続的で有能な人材を育てるために、教育や技能研修を最も必要とする人たちにその機会を提供する。明日のリーダーとなる、学ぶ意欲にあふれた若者たちの生活や経験を変えることに寄与できればと思っている。」と意欲的です。