コミュニケーション学科の間宮恵美歌さんは、2014年夏学期からTUJに編入した4年生。2学期目の秋学期、「Sophomore Seminar」のプロジェクトの一環で留学コンサルティング会社「ドリーム・ポート・ジャパン(Dream Port Japan)」の立ち上げを企画。「将来留学を目指す高校生や海外に行きたいと思っている同世代の人たちに、リアルな海外留学経験を伝えるチャネルを作りたい」という思いが発想の原点でした。この企画の立ち上げは、前学期末に企画書を見た指導教官のカー教授からのアドバイスがきっかけでした。

「少しでも日本の国際化に役立ちたい」

文科省が「トビタテ!留学JAPAN」キャンペーンで2020年までに日本から海外の大学への留学生を12万人(現状6万人)にする計画を打ち出したことを受け、間宮さんは自分にできることはないか考えたそうです。そして、コースのプロジェクトを機に、少しでも日本の国際化に役立ちたいという思いで学生に情報提供やカウンセリングを行う「ドリーム・ポート・ジャパン」の立ち上げ企画を発案。クラスから3人の賛同者を得てビジネスコンセプトを練りました。プロジェクトのコンセプト作りのために、街頭インタビューや自身の母校で高校生にアンケートを行って、海外留学に対する意識の実態も調査し、「ニーズはある」と間宮さんは手応えを感じたそうです。

写真:間宮さん(左端)とクラスメート/プロジェクト立ち上げメンバー
間宮さん(左端)とクラスメート/プロジェクト立ち上げメンバー

プロジェクト最大のセールスポイントは生きた情報

ドリーム・ポート・ジャパンの強みは、プロジェクトメンバー全員が過去数年間に米国、イギリス、シンガポールで留学を経験していることです。海外に飛び立とうとする高校生に、より身近な目線から「生きた情報」を提供できます。高校卒業後に海外留学するには何が必要か、SATやIELTSなど大学への入学に必要な資格試験や出願手続き、ビザ取得や渡航から現地での滞在生活まで、経験者だからこそわかる情報を個別カウンセリングで学生の要望にあわせて提供できるのです。

「生きるデータベース」として政府の取り組みに貢献したい、と間宮さんは熱い思いを胸に語ります

コースを教えた上級准教授ロナルド・カーは、「このコースでは、ゼミ形式でケーススタディを分析して、アントレプレナーシップ(起業家精神)と危機管理を学び、課題解決の力を身につける。学生は3~4人のグループで、ビジネスプランを作成し学期末にプレゼンします。学生が考える企画は多種多様で、過去には東日本大震災後の日本への観光誘致回復を狙って、千葉のハイキングマップを作る企画もあった」と振り返ります。間宮さんらの企画については、「ニッチなマーケットを狙っていて、着眼点がとてもいい。アプローチ次第で既存のビジネスに十分対抗できるコンセプト」と高く評価をしています。

8月31日から始まる2015年秋学期には、「個別演習(Independent Study)」で、この「ドリーム・ポート・ジャパン」の立ち上げ準備を継続する予定だそうです。間宮さんの最終的なゴールは、ベンチャー企業をTUJの授業内で設立することで、この一学期を通して業界リサーチや実際に地元の公立高校を訪問するなどして、留学の現状把握などを考えているそうです。その上で、実際のビジネスとして成立するか見極めつつ、リサーチを深めていきたいとしています。

「10年後の夢はオーガニック&フェアトレードのお店を持つこと」

自分が海外へ出てみて、日本の国際化やビジネスのグローバル展開に高い関心を持つようになったと間宮さんは言います。間宮さんは、東京都内の高校を卒業後、単身米国に渡り、2か月間の語学研修を経てカリフォルニアのコミュニティ・カレッジ(二年制大学)に入学しました。その後、4年制大学に編入してまもなく、家庭の事情で学位を取得せずに日本に帰国。1年間アパレル業界で働きましたが、「いろんな壁にぶつかった。様々なバックグランドの人たちと衝突した」と言います。そんな中、留学経験のある人たちから励ましを受け、学位取得の必要性を強く感じたそうです。そして、米国での2年半の頑張りを形にすべく、日本に居ながら米国大学の学位が取得できるTUJに、昨年5月に奨学金を得て編入しました。

写真:(左から)間宮恵美歌さん、ラウイ夏海さん、(右後方)プリシラ・コイケさん、(右前方)伊藤夜風さん
(左から)間宮恵美歌さん、ラウイ夏海さん、(右後方)プリシラ・コイケさん、(右前方)伊藤夜風さん

そんな間宮さんの将来の夢は、10年後にオーガニック&フェアトレードのお店を持つこと。「その場所にしかないもの、その場所でしかできないことをやってみたい。ビジネスオーナーとして、米国、アジアなど海外各地に出店して現地も利するシステム作りをするのが理想」と語ります。TUJ卒業後は日本で外資系企業への就職を希望。5年後には企業派遣で海外でコネクションを構築し、国際ビジネスの実践を学ぶというビジョンを掲げ、未来のグローバル起業家を目指します。

「TUJでの学びは、とにかく実践的。少人数のクラスで教授との関係がとても近く、コネクションを紹介してもらえる。キャリアカウンセリングも充実」と、間宮さんは目を輝かせます。2015年の春学期にインターンを経験したソーシャルメディア/デジタルマーケティング会社Bluedelphiaではオンラインビジネスを実践的に学びました。テンプル大学の卒業生でもある創設者のティモシー・スケピス(Timothy Schepis)さんとの出会いは2014年秋の学内イベント”Life After TUJ“がきっかけでした。「”思考すること”は米国の大学で学んだ。客観的にものを見て議論を裏付けする根拠、証拠を集めていく思考法は人生のあらゆる局面で役に立つ」と米国式の国際教養教育の利点を肌で感じています。米国留学中に多くの刺激を受けた中国人や香港人、台湾人の友人とのネットワークを将来のビジネスに活かすことも視野に入れています。「アジア的価値観で互いに通ずるところが多い」と語る間宮さんは中国語も勉強中で、2015年夏学期終了後、8月には上海へ短期留学をして、さらなるブラッシュアップを目指しています。