テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)国際ビジネス学科ディレクターのウィリアム・スウィントンは熱心な教育者です。彼は学生のことを親身に考え、卒業後の成功のチャンスが少しでも広がるように革新的な手法やアプローチを採っています。国際ビジネス学科のプログラムは、卒業生に多言語・多文化の環境で働くための準備をさせてくれます。スウィントンは、クリティカル・ シンキングと問題解決のスキルを育てること、そして何事も直接の経験を得ることを最重要視しています。「今日のビジネスは急激に変化していて、10年後にどんなビジネスが存在するか誰にもわからない状況です。でも彼ら(学生)が考える力を身につければ、どんなビジネスでも成功できるでしょう」と彼は語っています。
「いますぐ、なりたい自分になろう!」
スウィントンはビジネスのアイディアや人生のゴールの実現に向かって、学生に、今ここで努力するように薦めています。「とにかくなりたい自分になろうとしてみなさい。何かを待っていないで、いますぐ始めるのです」人生は卒業後に始まるのではなく、もう始まっているのです。学生は長期的な未来を考え、それに向かっていま行動することが期待されています。
国際ビジネス学科は、こんな哲学に従ってカリキュラムが組まれています。教室は、ケーススタディ、インターンシップ、管理職や経営者との対話の機会などを通してビジネスの世界と直結しています。学生は活発に授業に参加して、多くの実用的な経験を得ます。教室の外にある世界でものごとがどのように行われているか学ぶために卒業を待つ必要はないのです。
さらに、「ライブ・ケーススタディ」によって、学生は実際のビジネスの世界やその困難を味わうことができます。これらのケースでは、高級ホテルチェーンからIT、そして金融企業まで、幅広い業種のあまり知られていない部分に光を当てていきます。主なフォーカスを当てるのは、アジアに拠点を持つ国際企業です。ビジネス・プロフェッショナルとして訓練中の身である学生は、重要な課題を見つけ出し、それらに対処する戦略を考え出さなくてはなりません。授業のディスカッションでは、解決策を提案し、クラスメイトと意見を交わし評価をします。
Amazon、Boeing、Texas Instrumentsなどの大企業を含む、東京に支社や本社を持つ様々な企業から講師を迎えての授業もたくさん行われます。先学期は、オンライン旅行ウェブサイトおよびサービスを提供する株式会社ベンチャーリパブリックの創設者で代表取締役社長の柴田 啓氏などビジネス界のリーダーをクラスに招き、学生は貴重な経験やアイディアと現在のビジネストレンドなどについて話を聞く機会に恵まれました。このような出会いが大学の外にある世界への扉を開き、成功企業との真のつながりを作ってくれます。
また、学生は独自のビジネスプランを作り、経営者や投資家の一団に対して売り込むことを求められます。アメリカのTV番組で有名になった”シャークタンク”スタイルと呼ばれるやり方です。例えば、ある授業では、スマートフォン技術を活用したビジネスを立ち上げることが課題とされました。
早くから学生はプロフェッショナルとしての態度と外見が実用的なスキルや理論的な知識と同様に重要であることを認識しています。学科の大部分の授業が行われているTUJ三田校舎には、ビジネス現場のような雰囲気が漂っています。ビジネススーツ、ボタンアップシャツ、ネクタイ、ドレスシューズといった服装も珍しくありません。就職の展望やビジネスの機会、イノベーションなどが学生間の話題となることもしばしばです。学生は彼らのキャリアがもう始まっていることをわかっているのです。
よりよい質問をすることを学ぶ
「ある意味、すべてのビジネスは国際的と言えます」とスウィントンは言っています。一枚のセーターが、ある国で作られ違う国で売られる。そして、その素材になるウールは、第三の国で収穫され第四の国で紡がれるといったふうに。世界経済がますますグローバル化するなか、広い視野を持つことが要求されています。ビジネスや産業の一般構造はどんなものなのか?どこに価値を付加し、どこから価値を引き出すことができるのか?現存する問題に対してよりよい解決策はあるのか? 学生はこういった質問をすることを学びます。こういったビジネスやビジネスモデルの分析を通して、未来の起業家である学生に革新的なアイディアやアプローチが湧き上がってくるのです。
国際的なビジネスをするには、グローバルな物の見方と、異なる背景を持つ人たちと一緒に働く能力が必要です。TUJの国際ビジネス学科のプログラムは、様々な文化やその習慣について学ぶのに最適です。学生は世界中から集まる多彩なグループで、授業での議論も必然的に国際的になります。また、講師陣も同じくらい多様で、教授はレバノン、ドイツ、カナダ、インド、アメリカ、日本、その他の国から来ています。全員が複数の国での経験を持ち、学生にそれらを進んで共有しています。
できるかわからないことにチャレンジする
好奇心、生涯学習、限界への挑戦といったことが、自立した思考や成功の素になると、スウィントンは信じています。そのため、彼は常に自分に挑戦しています。毎年、彼は今までにしたことのない新しいことを学ぼうとしています。「自分が快適に感じる範囲から外にでることが大切です。そして、できるかどうかわからないというのがポイントです」と彼は言います。
今年、スウィントンは、GORUCK「ブートキャンプ」チャレンジに参加しました。10月8日、33人のグループの一員として、約15kg (30ポンド) を背中に背負った状態で、歩いたり走ったり、泳いだりウェイトを挙げたりするなどの活動をして1日を過ごしました。このチャレンジの準備のために、彼は1カ月間、どこに行く時も重いレンガを入れたバックパックを背負いました。「学生はいつも自分の限界に挑戦しています。私も同じようにするのが当然ですよね」
執筆者: オリガ・ガルノヴァ(コミュニケーション学科/アート学科同時専攻)