TUJ学長ブルース・ストロナク(写真提供:東京大学)

テンプル大学アメリカンフットボール部Temple Owlsの学生とヘッドコーチは5月16日、東京大学本郷キャンパスで開催されたシンポジウムで登壇し、東京大学、筑波大学の学生アスリート、指導者とともに日米大学スポーツと学生アスリートの未来について議論しました。日米学生アスリートと指導者総勢8人のパネリストが、闊達な意見交換で来場者に現場の生の声を届けました。会場には学生、教職員、大学スポーツ関係者をはじめ、報道関係者、文科省・スポーツ庁関係者、スポーツ関係企業、競技団体関係者などが来場しました。

このパネルディスカッションは、東京大学社会連携本部・東京大学スポーツ先端科学研究拠点主催の特別シンポジウム「大学スポーツの未来」の第二部で、「大学スポーツと学生アスリートの未来」と題してテンプル大学と筑波大学アスレチックデパートメント(AD)が共催したものです。

(左から)テンプル大フットボールチーム DL マイケル・ドッグビ 、QB フランク・ニュータイル (写真提供:東京大学)

パネルの中で、登壇者の一人、テンプル大アメリカンフットボール部でクオーターバックを務めるフランク・ニュータイル(同大4年)の「Temple Owls学生アスリートとしての一日」を追うビデオが上映されました。早朝から分刻みで部のミーティングや練習に励み、午後からインターンシップに通う姿、また、充実したトレーニング施設、大学のサポート体制が紹介されました。チームの方針として、ヘッドコーチ(HC)のジェフ・コリンズはパネルに先立つ講演でも、文武両道と学業の重要性を強調し、先学期、チーム全体のGPA(平均評定)が過去最高の3.02を記録したことにも触れました。同じくパネルに登壇したディフェンスラインのマイケル・ドッグビ(同大4年)はスポーツを通じて人間として人生を学び、チームメイトとの絆を深め、素晴らしい4年間を過ごしてきたと振り返りました。

テンプル大フットボールチーム ヘッドコーチ ジェフ・コリンズ(写真提供:東京大学)

東大アメリカンフットボール部ヘッドコーチの森清之氏は、Temple OwlsとのクリニックやHCコリンズの講演を通じて両大学のチーム運営の哲学や文武両道のカルチャーが似ているとし、「東大が変われば、日本が変わる」と、大学スポーツ改革に挑む意気込みを語りました。東大学生アスリートも、東大の発信力を生かして、スポーツから社会を変えていく輪が広がることを熱望しました。また、今年4月に日本の大学で初となるアスレチックデパートメント(AD)が設置された筑波大学の学生アスリートは、自身が改革初期メンバーとして後輩たちに、よりよい大学スポーツ経験を伝える先駆けとなる思いを語りました。また、別の筑波大の登壇者で故障中の学生アスリートは、自身の治療やリハビリの体験をもとに学生アスリート支援体制の改善を願い提言しました。

テンプル大上級准教授ジェレミー・ジョーダン (写真提供:東京大学)

このほか、テンプル大学上級准教授ジェレミー・ジョーダンは、講演で、大学スポーツが大学のブランディング、学生募集、卒業生や地域社会とのつながり創生に与える好影響について強調しました。また、今年度スポーツ庁が創設を進めるスポーツ統括組織のモデルでもある全米体育協会(NCAA)の機能や役割、さらに日本でも昨今関心事が高まる安全管理対策についても触れました。ジョーダンは、2016年より筑波大、株式会社ドームとともに進めている日米大学スポーツに関する共同研究を通じて、日米それぞれの大学スポーツのベストプラクティスを模索しています。筑波大ADの設置にあたっては、準備段階よりコンサルティング・メンバーの一人として参画しています。

(写真提供:東京大学)

今回のTemple Owls来日中には、本シンポジウムのほか法政大学(5/13)、関西大学(5/19)でクリニックが開催され、それぞれ150人、200人を超える日本の高校生、大学生アスリートが参加しました。シンポジウム同日に東京大学(5/16)で開催されたミニクリニックも合わせ、日米の学生アスリートにとって、スポーツを通じた異文化交流の貴重な機会となりました。

Temple Owlsの学生アスリートとヘッドコーチ、教職員の一団は、5月12日~20日の9日間、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるテンプル大学本校より授業の一環で来日しました。東京、京都、大阪で日米文化交流とともに、日本の文化やスポーツ、観光産業について学びました。HCコリンズは、チームの学生、自分自身にとって、「一生涯心に残る旅」として、日本の文化に触れたことは「驚くべき体験」であったと振り返っています。

ビデオ

動画提供:Temple University Athletics

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