2008年4月17日

テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ:東京都港区)は、2008年4月1日付でブルース・ストロナク氏が学長に就任したことを発表します。ストロナク学長は今年2月からTUJの学術顧問という責務にありましたが、4月より新たに学長に就任したものです。

ストロナク学長は、過去30余年に渡り米国と日本を往来、その間両国において、教育者としてまた大学経営者の立場から一貫して高等教育の分野に携わってきました。前職は横浜市立大学の学長を3年間務め、日本の国公立大学の初の外国人学長として手腕を発揮しました。

以下はストロナク学長の就任の挨拶です。


テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)学長という栄誉ある職に就任したことを大変嬉しく思っています。前途に待ち受ける挑戦と機会に全力で取り組んでいく所存です。本学のステークホルダーのみなさまのご支援、ご指導、ご協力のもと、TUJが世界レベルの高等教育機関として一層の発展を遂げることを大いに期待しています。26年に及ぶTUJの歴史と私自身の日本でのキャリアには多くの類似点があり、TUJはまさに私にぴったり合った場所であると確信しています。

ストロナク学長

写真:ブルース・ストロナク学長(学長室にて)
ブルース・ストロナク学長

私の学長としてのゴールは、TUJを日本の高等教育制度の中で他には類を見ない国際的な高等教育機関としてさらに前進させることにあります。そのひとつの方法は、学校法人となることであり、その選択肢については積極的に検討しています。日本の他の教育機関や企業との協力関係の確立、高等学校への支援活動の拡充、港区および東京都など地域社会との関係強化などによって、日本社会における国際的な高等教育機関としてのTUJの認知を高めていきたいと考えています。

TUJでは、アメリカ式の高等教育を通じて、文部科学省が日本の大学に対して奨励していることの多くを既に実現しています。高等教育の場、企業の採用現場、あるいはメディア報道など、日本社会の至るところで、日本の学生は独自で考え分析する能力、すなわちクリティカル・シンキングを身につけ、日英両方のコミュニケーション能力を伸ばし、自信を備え、進取の気性に富んだ人間に教育されなければならないと謳われています。TUJでは、すべての学生にこうした特性を身につける教育を提供しています。そしてあらゆる意味での多様性が、本学の教養教育の重要な要素となっています。TUJではすべてのプログラムにおいて英語で授業が行われ、世界各地から学生を受入れています。学生のおよそ40%が40カ国以上からの留学生という環境は、本当の意味での国際性とクリティカル・シンキングを養う上で極めて重要な思考・文化・教育の多様性を提供しているのです。

TUJを他とは異なる存在として支えている要素のひとつは、アメリカの国際的な教育機関でありながら、日本社会の一員であるというそのバランスにあります。TUJは日本の教育機関との協力関係を確立し地域社会に必要不可欠な存在として認められると同時に、日本の現代社会において育成が求められている要素を提供することによって、その存在意義を発揮できると信じています。提携する教育機関と協同で学術的に質の高い内容のコースを提供するとともに、その機関の教授陣や学生に真の多様性をもたらすことによって、TUJと日本の高等教育諸機関との間に極めて積極的な相乗効果を生み出せることを確信しています。

また、日本の企業とも同様に相乗効果を生み出す協力関係を構築できると考えています。日本の産学協同の考え方は、科学的な研究開発を重視する傾向にありますが、私はこのコンセプトを芸術、デザイン、ビジネス、経営など他の分野にも拡充できると考えています。それには、たとえば講師として企業の社員を招聘する、企業を対象とした教育機会を創出する、本学の企業内教育プログラムを通じて企業向けのサービスを拡充するなど、さまざまな方法が考えられます。

地域社会との関係についても、同様のことが言えます。公立大学の学長を務め、アメリカの公立大学を卒業した経験を通じて、私は大学の社会的責任について十分に認識しています。テンプル大学自体も、地域に深く根差した公的な総合大学研究機関であり、学生、教職員ともに、地域のさまざまな住民に役立つ多種多様なサービスや研究活動に携わっています。TUJもアメリカ本校のそうした伝統に従い、私たちがキャンパスを置く地域に貢献し、その地域をよりよいものとするという責務に取り組んでいます。本学では、港区の区民大学、港区立中学校の生徒を対象とする夏期英語プログラム、TUJ図書館の港区民への開放などのプログラムをすでに数多く運営しており、これらのプログラムを足掛かりに、すべての人にとって港区での生活が一層豊かなものとなるように貢献できると信じています。

TUJにとっては、企業との関係においても、地域との関係においても、学生が授業以外の場で学ぶ機会を得られることが、なによりも重要なメリットです。教養教育においては、教室で学んだことを実際に活用する重要性を理解するために、学生が実践を通じて学ぶ経験を生み出すことが極めて大切です。私たちは、学生が人間として成長していくことを願っています。大人になることは、大学での重要な経験のひとつなのです。それは、学生自身に責任を持たせることによってはじめて実現すると私は考えています。

TUJの新学長として、大いなる期待と興奮を抱き、これらすべての目標の達成を目指したいと思います。