写真:クロージングセッションの模様(6月30日 米国大使館講堂にて)

テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都港区/学長 ブルース・ストロナク/TUJ)は6月30日、米国大使館商務部の後援によるTUJシンポジウム「グローバル競争力を高める大学運営〜米国大学の事例から」を米国大使館で開催しました。全国各地から大学・教育関係者、報道関係者が参集し、定員80名の会場は満席となりました。冒頭の開会挨拶では、まず米国大使館マルゴ・キャリントン広報・文化交流担当公使より日米の学生交流の大切さについて、続いて文部科学省 高等教育局 高等教育企画課長 森田正信氏の祝辞ではグローバル人材育成の重要性についてお話いただきました。

本シンポジウムは、国際化を余儀なくされている日本の大学・研究機関から米国式の大学運営や経営に注目が集まっていることを受け、TUJ学長ストロナクが企画発案したものです。日本で唯一の米国4年制大学日本校として、日米教育交流の旗艦的役割を担う本学を支援する米国大使館での開催に至りました。

第1部では、ストロナクによる主催者挨拶の後、上級副学長・加藤が「TUJの概要」と題して米国大学の特徴をふまえつつTUJについて説明し、教務、長期インターンシップ、学生サポートの3つのテーマについて、3名の職員、アカデミック・アドバイジング・センター・ディレクター 島田敬久、就職部マネージャー 澤健太郎、学生サービス部マネージャー ニコル・デプレイが、それぞれの職域と組織構成などに触れ、米国式大学運営の大枠を語りました。

第2部の分科会は3つのテーマごとにワークショップ形式の参加型セッションが行われました。『米国式教務(アカデミック・アドバイジング)』では、日本の大学でアドバイジング導入に当たり課題となる「ハード(GPA、コースナンバリングなど)」と「ソフト(人的資源)」の両面について、参加者がグループディスカッション形式で議論しました。また、『大学主導のインターンシップ』では、大学が中心となって仕組みづくりを推進する際の留意点やプログラム発展段階における課題点、また企業、教授、学生との信頼関係構築などについて、問題提起と意見交換が進められました。そして『外国人学生をサポートする学生サービス』では、事前アンケートで質問の多かった3つの課題、①どこまで対応・支援するか?、②異文化理解、③国際交流、について、TUJでの事例を紹介した後、各グループで任意のテーマを選び、それぞれ熱い議論が繰り広げられました。

分科会後に行われたクロージング・セッションでは、ストロナクが学生支援のカギは教職員間の横の連携であり、「教員+職員=大学」という認識そのものが重要であると強調しました。各分科会からの有志代表による5分間の簡潔かつ充実した報告の後、質疑応答が行われ、権限移譲と特例措置の対処法についてや、プロフェッショナリズムと職員教育についてなど、まさに現場実務に即した内容が議論されました。日米大学の比較について質問されたストロナクは「日本と米国は企業経営体質にも違いがあり、米国式をすべて日本にあてはめるのでなく、改善の参考になる部分を取り入れるのが良いのでは」と提言し、会は盛況のうちに幕を閉じました。

後日行われたアンケートでは「(グループセッションなどを通じて)具体的に他大学の方々と悩みを共有できてよかった」「もう少し時間が長いとなおよかった」といったポジティブなコメントが多く寄せられ、日本の高等教育の発展について、組織を超えた意見交換や情報共有の必要性を伺わせました。

当日使われたスライド資料とシンポジウムの概要はイベントページをご参照ください。