米国政府の助成を受けてTUJが開講した英語研修プログラムに参加する日本人教員たち

米国政府の助成を受けてTUJが開講した英語研修プログラムに参加する日本人教員たち

テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長 マシュー・ウィルソン、以下TUJ)が米国政府の助成金支給を受けて2023年1月より開講した日本人教員のための英語研修プログラムが、このたび無事修了しました。多数の応募の中から選ばれ、関東および関西から参加した小・中・高等学校の現職の英語教員146名は、本プログラムで学んだ、コミュニケーション重視の英語教授能力の向上を実感し、手ごたえがあったと語っています。

TUJ大学院教育学研究科が担当した本研修プログラムは、現職教員・指導主事を対象とする「英語教員スキルアップコース」および「英語教員奨学金コース」の2コースで、いずれも在日米国大使館を通じた米国政府の助成により授業料全額支給(参加費無料)で実施されました。また、文部科学省から後援協賛も受けています。

【英語教員スキルアップコース】 対面式セミナーおよびビデオレクチャー/デモンストレーションの2形式での提供。そのいずれか、または両方に参加可能。対面式は75名、ビデオコースは114名が受講、要件を満たして修了した受講者には修了書が発行されます。 【英語教員奨学金コース】 スキルアップコースと同時に開講され、71名が受講。うちわけは、54名が大学院教育学研究科の12時間の特別講義シリーズ聴講生。17名はTESOL(教育学英語教授法)修士課程の講義「Adapting and Developing Language Teaching Materials(語学教材の適用と開発コース)」(3単位) 科目履修生。

■参加者の声(1)「生徒中心のアプローチを学んだ」 ――ドルトン東京学園中等部・高等部英語科、黒沢毅氏

本研修の意義について語る黒沢毅さん
本研修の意義について語る黒沢毅さん

教員歴21年の黒沢氏は、英語教員スキルアップコース(対面式)と英語教員奨学金コース(特別講義シリーズ)を受講。以下のような感想を述べました。
  本研修に参加して、指導スキルの向上だけでなく、これまで蓄積してきた知識の再確認ができました。以前高校で英語を教え、今は中学生を教えています。受講したコースの中に小学校英語・幼児英語教育に焦点を当てたものがあり、そこで学んだ方法のいくつかはすぐに教室で応用できました。  どの講師もみな、教師中心よりも生徒中心のアプローチを優先するのが重要だと教えていました。この研修受講から得た最大の学びは、生徒を励ますことに集中せよ、ということです。以前から自分もその原則を守ってきましたが、多くのレクチャーに参加してそれが正しいことを再確認できました。
  生徒たちに求めるのと同じように、私たち教育者も学ぶ機会を作ることが大切です。教師は常に、学び続けることに対して熱心であるべきだと思います。

■参加者の声(2)「分析の大切さを知った」――工学院大学付属中学校・高等学校教諭・英語科主任、中川千穂氏

この研修で得た経験を語る中川千穂さん(写真撮影:Antony Smith)
この研修で得た経験を語る中川千穂さん(写真撮影:Antony Smith)

約10年の指導歴を持つ中川氏は、英語教員スキルアップコース(対面式)および、英語教員奨学金コースの特別講義シリーズと「語学教材の適用と開発」コースの両方を受講。以下のような感想を述べました。
 英語教師として英語指導についての理解を深めることは有益だと考え、そのような機会を探していたところ、米国大使館を通じてこのプログラムを知りました。現場に身を置きながら自分の専門性を高めるチャンスだと思いました。

 技能の習得だけが目的なら英語学校で学ぶこともできました。でもこの研修では、一人の人間としてどう英語教育に向き合い、効果的に英語を教えていくのかを考えさせてくれました。また、今回の研修はアイデンティティの多様性に富んでおり、その点に着目した授業だったことも価値があると感じました。
  ある授業の講師は理論と密接に結びついた個人的なエピソードを話してくれました。自分でも同じような事例の経験をしたので、とてもわかりやすかったです。いろいろなことについてきちんと分析することの大切さ、分析したデータがどんな結果をもたらすかについて教えられました。

■TUJ大学院教育学研究科について

TUJの大学院教育学研究科は、本研修プログラムを実施するための助成金を2022年に在日米国大使館を通じて米国政府から獲得しました。これはTUJの長年にわたる大学院教育(修士課程・博士課程)推進の功績が評価されたものと言えます。TUJは教育学英語教授法(TESOL:Teaching English to Speakers of Other Languages=第二言語あるいは外国語としての英語の教授法)修士課程を1982年の創立時から提供しており、過去40年間で授与された修士号は約1,700、博士号は200以上を数えます。TESOLプログラムは、国際化、言語的・文化的多様性、卓越した教育、研究と教育・学習の統合を推進し、テンプル大学の組織的使命を支えています。

(参考)2022年10月17日リリース「米国大使館、テンプル大学ジャパンキャンパス日本人教員向け英語研修プログラムに助成金」

■大学院教育学研究科およびアカデミックイングリッシュプログラムのエグゼクティブ・ディレクター呂敏華(ルー・ミン)コメント

TUJ 大学院教育学研究科の数ある使命のひとつは、日本人英語教員にTESOLを学ぶ機会を提供し、その英語教授スキル向上に資することです。現在、日本の多くの小・中・高校では、まだ暗記を重視し、文法を日本語で説明し、英語から日本語に一字一句訳すという方法で英語が教えられています。この研修プログラムの主な目的は、現職教員にもっと違った教授法やアプローチを紹介し、指導における創造性の重要性を理解していただくこと、そしてコミュニケーション力を重視した言語教授法をご自身の指導に取り入れていただくことにありました。この目標は無事達成されたと考えており、この機会をつくってくださった米国大使館および米国政府からの支援に心から感謝しています。今後も研修参加者のみなさんとつながりを維持し、英語教育向上のお手伝いができれば幸いです。


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