8月14日(月)から18日(金)まで、テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都港区/TUJ)において夏期人気プログラムの一つ「高校生のための英語スキルアップ(夏)2017年」が開催されました。ここでは私、大学生と中学生の娘を持つ母親ライターが、参加した生徒さんへのインタビューを中心に、彼らの5日間の成長や変化をお伝えします。

世間では日本の若者は内向き志向になったと言われて久しいですが、ここには外の新しい世界を求め、将来を見据えた日本の高校生たちが集い、それを力強くサポートするTUJの講師、スタッフの姿がありました。参加者の英語のレベルや経験は様々で、バックグランドも十人十色。関東近郊からの参加者が主ですが、中には宮城、長野、山梨、三重、京都、大阪などからも。そして、全員に共通していたのは「英語が上手になりたい!」という気持ち。3年前はわずか55人だった参加者が今年は136人にまで増えたこの講座の魅力はなんといっても、他者とコミュニケーションが取れるようになる「生きた英語」が学べることです。大学入試対策の読解練習や文法の学習が中心の日本の高校の授業とは異なる「米国式」のアプローチです。耳と肌で感じて身体から吸収した言葉は、その後も記憶に残ります。いつもと異なる環境に身を投じ、この夏、ワンランク上の自分を目指した高校生たちの中から3人にお話を伺いました。

1人目は、三重県桑名市より参加した松田真昴(まつだまさたか:写真左)さん。緊張した様子で初日にクラス分けの面接を受けていたのが印象的でした。彼は大学受験を控えている高校3年生(第一学院 四日市キャンパス)。実はTUJへの進学を視野に入れているそうです。「7月にネット検索してオープンキャンパスに参加したのがTUJとの出会いです。スキルアップのため英語漬けになって、勉強したいと思って参加しました。英語が話せたらコミュニケーションが取れる人がぐっと増えて、世界が広がる。それを会得せずして死ぬのはもったいないと思いました」。この5日間、彼はTOEFL受験対策コースを受講しました。全てを英語で学ぶ環境は、きっと彼にとっても初めての体験だったはずです。最終日、彼はじっくり言葉を選びながら次のように感想を述べてくれました。「非常に高度な内容のクラスでした。先生の要求することはなんとなくわかったけれど、それに応えるだけのレベルが自分になかった、もっと基礎力をつけたいです。この5日間は今後のいいきっかけになりました」。進路を考えなければならない高校3年生。自らを冷静に振り返り、彼はすでに次の目標を静かに見据えていました。(写真は高山渉さん(高1)と一緒に)

愛らしい笑顔の塚本理子(つかもとりこ:写真右)さんは、都内の私立高等学校1年生。初級プレゼンテーションコースに参加、初日は緊張した面持ちで次のように話してくれました。「お母さんがこのプログラムを紹介してくれたのが参加したきっかけです。留学を経験している友人が多く、置いて行かれないようにしたいと思いました。みんなが英語でしゃべっている様子を見て緊張しています」。ほんの数日前まではこれほど英語を話すチャンスはなかったはずの彼女は世界各地の「おもしろ自動販売機(Funny Vending Machine)」について調べ、資料を作成して最終日に発表をしました。グループ内で司会者、発表者、結論を述べる人などの役割がはっきりと決められていて、初級レベルとは思えない仕上がりに内容がまとまっていて大変感心しました。「とても充実した5日間でした。最初は先生の言っていることを、2〜3回聞き返しても理解できませんでした。それでもしばらくするとだんだん聞き取れるようになって、コミュニケーションがスムーズにいくようになったことが実感できてとても嬉しかったです。将来は、ハワイなどの南の島に住んで、英語を使って旅行案内業をしてみたいです」。本当に南の島が似合いそうな、明るくはじける笑顔で答えてくれました。(写真は川崎瑠奈さん(高2)と一緒に)

最後にお話を伺ったのは、同じ高校の同じ部活の友人と参加した加藤和音(かとうかずね:写真左)さん。明るく元気な都立小平高校1年生。彼女は中級プレゼンテーションコースに参加。「学校でこのプログラムを知り、英語上達のために参加しました。今、めっちゃ緊張していますが、たくさん英語に触れる5日間にしたいです!」と、とても前向きに答えてくれました。このグループは「食」に関する内容が大きなテーマで、彼女の班は「和菓子」について調べて発表しました。前日から準備に取りかかり、簡単なキーワードと写真やグラフ、スライドを使って分かりやすく説明をつけ、パワーポイントで資料を作成しました。それにしても、今どきの高校生のコンピュータリテラシー(情報処理能力)には感心させられます。準備に充てられた時間は決して多くはなかったはずですが、どのグループも見応えのある内容でした。最終日に再び和音さんを訪ねると、「大変充実した5日間でした。和菓子のプレゼンテーションが一番楽しかったです。全てが英語で難しいこともあったけれど、やりがいがありました。また参加します!」充実した笑顔と頼もしさいっぱいの感想を話してくれました。(写真は松井巴琉さんと一緒に。二人は共にダンス部所属)

このプログラムを影から支えるのは、ティーチングアシスタント(TA)の存在。彼らはTUJで学ぶ現役の学生たちで、プログラム運営をサポートするための専門の教育を受け、講師の補佐にあたっています。その1人、アジア研究を専攻しているクリスチャン・サルボサさん。最終日のプレゼンテーションを見て次のように話をしてくれました。「僕も大学の授業でプレゼンテーションをするけれど、ゆっくり、丁寧に伝えるって難しいことです。僕はいつも速くしゃべって終わらせてしまいます(笑)」そして5日間を振り返って、「TAの役割はクラスを盛り上げることだと思っています。参加した生徒さんたちは最初から積極的に話しかけてきてくれた印象があって、自分自身もとても楽しかったです。将来は日本で英語の教師をしたいと考えているので、TAやチューターをした経験が役に立つといいなと思っています」と感想を述べてくれました。彼らのような縁の下の力持ちは、参加者同士の交流を深め、プログラムを成功へと導く役割を果たしています。

TOEFL受験対策コース
TOEFL受験対策コース
閉講式で

この5日間で確実にたくましく成長した生徒さんたち。ここで体験したことは、必ず彼らの力になると思います。将来が楽しみです。頑張れ!日本の高校生たち!応援しています!
(我が家の娘の姿が来年ここにあるといいなぁ:by 母)


執筆者:柳原朋子(やなぎはらともこ)
大学生と中学生の子を持つ母親ライター。幼少期にアメリカ、学童期に香港、1997年から10年間中華人民共和国滞在。日本語情報誌編集に携わり、現地で幼稚園や学校を多く訪問。趣味の一つは学園祭巡り。