2025年7月26日、TUJにて。ノルウェー・ノーベル委員会のフリードネス委員長(右)が、講演後にTUJのスウィントン副学部長(左)へ書籍を贈呈。
ノルウェー・ノーベル委員会の代表団が2025年7月26日、テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長:マシュー・ウィルソン、以下TUJ)を訪問しました。代表団を率いたヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長の来校は、2024年のノーベル平和賞が日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与されたことを受けた日本訪問の一環として実現しました。TUJの学生、教職員、TUJコミュニティーメンバーにとって、この訪問は平和と人間性の重要性について考える貴重な機会となりました。
講演の中でフリードネス氏は、広島・長崎の原爆被爆者(被爆者)の証言を記録し、後世に伝えていくこと、そして核兵器の恐ろしさを理解することの重要性を強調しました。世界がより不安定な新たな核時代に突入しつつある今こそ、「核兵器は決して使われてはならない」という国際的な共通認識を守り続けることが重要だと訴えました。現在、核保有国が核兵器の近代化を進めるだけでなく、使用をほのめかす発言を公然かつ繰り返し行っている現状にも言及しました。
「被爆者のメッセージは、今こそ私たちが真剣に受け止めなければならないものです」と、フリードネス氏はTUJでの講演で語りました。「私たち社会全体が、被爆者の声に耳を傾け、記憶し続けることの重要性を強く訴え続けなければなりません。被爆者の平均年齢は85歳と高齢であり、その声を直接聞ける機会は限られています。だからこそ、あの悲劇を経験していない私たちにとって、今がその話に耳を傾け、行動するための貴重な機会なのです。」
平和をつくる人々に目を向けて
開会の挨拶に続いて、モデレーターを務めたTUJリーダーシップ・イニシアティブ担当副学部長兼シニアレクチャラーのウィリアム・スウィントンが会場からの質問を受け付けました。ノーベル平和賞の選考プロセスや、日本被団協が2024年の受賞者に選ばれた理由、この受賞が近年どのような影響を及ぼしているのか、今後どのような意義を持つのかといった質問などが寄せられました。そのほか、選考において委員会が悲劇的な出来事とどのように向き合っているのかを問う声もありました。
フリードネス氏は、人間の苦しみは日常生活やメディア、映画、街中、そして身近な家庭の中にも常に存在していると述べたうえで、そうした現実の中でも、対立の禍中で平和を目指して行動する人々に目を向けることの大切さを語りました。
「私たちは日々、メディアや映画、街中、そして家庭の中で、様々なかたちの人々の苦しみに直面しています。痛みや苦しみは、人間の本質の一部であり、私たちが生きるうえで避けて通れないものです。それでも私たちは、常に前向きな道を探し、平和を実現しようとする人々を探し求めています。」と語りました。
またフリードネス氏は、真の変化はデータから生まれるのではなく、一人ひとりの物語に耳を傾け、人と向き合うことから生まれるのだと強調しました。そして、日本被団協のような活動家たちとの出会いが、人々にレジリエンス(困難を乗り越える力)や勇気、そして平和への持続的な意志を与えてくれると振り返りました。
世界の第一線で活躍するゲストが語るグローバルな視点
TUJでは、著名なアーティストやビジネスリーダー、外交官、各国政府要人など、国際的に活躍するゲストをたびたび迎え、学生や教職員がその経験から学び、視野を広げる貴重な機会となっています。
2025年7月1日には、アカデミー賞にノミネートされた短編ドキュメンタリー『Instruments of a Beating Heart』の上映とトークイベントのため、映画監督の山崎エマ氏が来校しました。神戸に生まれ、日本で育ち、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部で学んだ山崎氏は、日本とアメリカの文化のはざまで生きる人生をテーマに作品を制作しています。本作では、世田谷区の小学校に通う小学1年生の静かな日常の中にある繊細なドラマを描いています。
また今年6月には、ガーナの駐日兼シンガポール大使であるジェネヴィーヴ・アパルゥ氏が特別講義を行い、さらにインド駐日大使のシビ・ジョージ氏も来校し、国際情勢に対する第一線の視点を学生たちに共有しました。
関連ニュース
- 米国医務総監、テンプル大学ジャパンキャンパスで学生と語るー健康とウェルビーイングの重要性 (2024年9月6日)
- 駐日セネガル大使がテンプル大学ジャパンキャンパスに来校、自国の文化・社会的結束について講義 (2024年5月8日)
- アステラス製薬の岡村直樹氏がTUJ国際ビジネス学科にて企業金融について講義 (2023年5月30日)

