ルーマニア駐日大使、テンプル大学学生とNATOとEUについて意見交換 — 2025年にTUJを訪問した外国駐日大使としては3人目

ルーマニア駐日大使オヴィディウ・ラエツキ氏は2025年10月22日、テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長:マシュー・ウィルソン、以下TUJ)を訪問し、学生や教職員と交流しました。訪問中には、「 NATO東側戦線と変化の時代におけるEUの価値観:ルーマニアと黒海地域の視点(NATO’s Eastern Flank and EU Values in an Age of Challenges: A Romanian & Black Sea Prospective) 」と題した特別講義を行いました。

午後3時から始まった講演で、満席の教室にラエツキ大使が登壇。ルーマニアの複雑な歴史、近隣諸国との外交関係、黒海地域の戦略的重要性など、幅広いテーマについて語りました。

大使は、ルーマニアのNATO加盟への道のりについて論じ、ニコラエ・チャウシェスク独裁政権の成立と崩壊から革命後の西側諸国・EUとの関係強化まで、同国の現代史をたどりました。また、ウクライナとロシア紛争におけるNATOの役割と地域への影響についても検証しました。

ラエツキ大使は、ルーマニア・日本との関係の発展についても述べ、明治時代にさかのぼる初期の外交交流に言及しました。また、2023年3月に両国が署名した戦略的パートナーシップについても触れ、両政府が経済、科学、技術、イノベーション、人的交流などの分野で協力を深めることに合意したと説明しました。

日本社会の規律ある日常

講義後の質疑応答では、受講生から次々と質問が寄せられました。質問は、ルーマニア国旗の歴史や進行中のウクライナ・ロシア紛争への見解、大使に求められる資質、さらには米日関係を含む国際外交の幅広い問題まで、幅広いテーマに及びました。

就任から1年を迎えた今、日本についての印象を問われたラエツキ大使は、日本の秩序感覚を高く評価しました。たとえば、日本人が列に割り込むことなく辛抱強く待つ様子を挙げ、それは規律と社会調和を重んじる国民性の表れだと述べました。

日本について学ぶ方法を問われると、大使は近所の様々な通りを歩いて日常生活を観察するというシンプルなアプローチを取っていると話しました。こうした探索を通じて、伝統的な日本文化だけでなく、現代日本の多様性にも気づかされたといいます。また、アニメや漫画も、楽しく洞察に富んだ形で日本について学ぶことができる方法だと述べました。

しかし、大使が最も印象深く感じたのは、日本社会の秩序と礼儀正しさだといいます。ルーマニアと日本間をイスタンブール経由で移動する大使は、羽田空港に到着するとすぐにこの秩序を感じ取るそうです。「東京に到着すると、誰もが列を守り、割り込もうとする人がいないのです」と語りました。

大使はこれを素晴らしい体験であり、日本文化の特徴だと表現しました。この秩序感覚を高く評価し、人々がルールを理解し、遵守することで、結果が予測可能になると説明。バルカン地域では、このような姿勢を維持することは非常に困難だといいます。

学歴と職歴

ラエツキ大使は2024年6月からルーマニア駐日大使を務めています。歴史学と政治学の博士号を持ち、アラブ文化とヘブライ文明の修士号も取得しています。外交官任命以前は、ユーロ・アトランティック・レジリエンス・センターの会長およびルーマニア議会の議員を務めていました。

優秀な学者でもあるラエツキ大使は、外交史、ヨーロッパ統合史、紛争と外交・調停とレジリエンス戦略、欧州連合の枠組みにおける機関と組織などの講義を大学で担当してきました。また、ルーマニア外交研究所と国防大学でも、イスラエル・パレスチナ紛争、ホロコースト、ハイブリッド戦争などのテーマで講義を行っています。外交、歴史、国際安全保障に関する深い専門知識を有しています。

ラエツキ大使の訪問は、2025年にTUJを訪れた外国駐日大使としては3人目となり、6月のガーナ駐日大使ジェネヴィーヴ・アパルゥ 氏、2月のインド駐日大使シビ・ジョージ氏に続くものでした。7月には、ノルウェー・ノーベル委員会の代表を迎え、学生に平和と人道の重要性を考える機会を提供しました。

TUJは定期的に高官外交官、政府関係者、国際機関の代表を迎え、学生やTUJコミュニティが国際情勢について議論し、彼らの経験から洞察を得る機会を提供しています。


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